金閣寺(2/1神奈川芸術ホールこけら落とし公演)

ずっと感想書けなかったんですが私の初日は公演4日目の2月1日でした。いやあ重かった暗かった辛かった。しかし森田さんは凄かった。森田さんちょー溝口でしたよ。溝口として舞台で息衝いてた。お陰で普段の森田さんを忘れそうになりました。知らない人が見たら大人しい人だと思うんじゃなかろうか(素は大人しいかもしれないけど)バラエティで見せる傍若無人さとかとはほど遠いキャラがハマってたのが不思議な感じです。それぐらい森田さんは溝口にしか見えませんでした。

以下内容に触れた感想。


溝口は本当に可哀想な子で自業自得っぷりは以蔵と張ってました。キャラ的には結構イライラしましたが相変わらず憎めない感じなのが流石森田さんだなと思いました。原作読んでないので何も分からない状態で見てたんですが、自己紹介で溝口が16歳と知って大変驚きました(良より年下…!)
見てる最中はあまり分からなかったけど見終わった後に色々考えさせられて、溝口、鶴川、柏木の関係性が面白いなと思いました。溝口にとって鶴川が光だったように鶴川にとっても溝口が光だったのではないか、とか。鶴川は光(溝口)を汚されたくなくて柏木に近付かないよう諭したのではないか、とか。溝口に誤解されて拒否られたせいで死に至ったのではないかとか。
鶴川が相談をしていたのは柏木にだったけど、全てを打ち明けられるから一番の友達という訳ではないというか…。溝口も結局自分の汚い部分は鶴川に曝せなかったし。逆も然りで、案外似た者同士だったんじゃないかと。お互い汚い部分は見せられないし理想みたいな物があるからこそ鶴川は溝口を問いただして溝口の綺麗さ(汚れてないか)確かめたかったように感じました。
あと印象的だったのは鶴川の死因を聞かされたときの溝口の言葉「そんな事で」。死の理由としては十分だと思うんですが溝口的には「対した事じゃないのに」という風に聞こえました。ここの所が二人が相談し合えるタイプの友人ではない事の証明のように思えました。
あと柏木のインパクトも凄かったです。高岡蒼甫くんハマってました。最初は分からなかったけど先に進むにつれてどんどん難しくなる役で、見終わった後に高岡くんだから出来たんじゃないかと思いました。森田さんと高岡くんのインパクトが大なせいで普通に見えてしまう鶴川ですが、この役も大東俊介くんだから良かったんだと思います。
演出は今まで見た事のないタイプで面白かったですね。机や長椅子や本棚が道や丘になったり、舞台を転換させずに奥と手前で進行させたりと。私の席はM2階のセンターよりで舞台からは遠いけど全体を見渡す事が出来て見易かったです。しかし遠かった為に冒頭で森田さんがどのタイミングで舞台に出て来たか分かりませんでした。髪を剃った姿を見てなかったので、気が付いたら真ん中に居たって感じ。その最初の舞台が始まる前の演出も斬新でした。
あと特筆すべきは最後の静寂。溝口の無の瞬間が結構長い時間であるんですが、客席の緊張感が半端無かったです。私も息を殺しました。舞台を壊すまいと必死!みたいな感じで。ある種のライブ感を味わいました。
見てる時と見終わった時はもうしんどくて仕方が無くて次また見るのがやだなーと思うぐらいだったんですが、今はまた見たいという気分になってます。次回は月末に福岡に観に行きます。会場も違うしどんな風になるのか楽しみです。