祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜(蜷川バージョン)大阪シアターBRAVA!(2/10公演)

何とダラダラしてたら2週間以上経ってしまいました。当日まで極力ネタバレ関係のものを見ないようにしていたので森田さんの衣裳とか知らなかったんです。何せポスターがアレだったんで(髭、リアル、飾り気無し)なのでまさかあんなに衣裳が可愛いとは夢にも思っていませんでした。早めに会場に着いたら外からパンフレットが買えたので開場まで暇だった事もあってそこであっさり見ちゃったんですが…(それまでの苦労が水の泡・笑)しかしダボダボのニットに髭無しって…!(ファンとしては期待も高まるってもんです)
舞台に関しては見終わって直ぐのときは内容について色々思うこともあったんですが時間が経つとそれぞれに良かったなと思えました。何しろ見てるときは目まぐるしい展開に考えが追いつかなかったんで…(2度目でも)見終わってあーだこーだ考えていたら納得出来たような気がします。同じ話でキャストが違うだけなら比べる所も少ないけど演出まで違うと何か色々と忙しかったです(凄い考えながら見てたような…)2度目だったから良かった事と弊害とそれぞれ同じ位ありました。
心配していた森田さんのトップクレジット問題は後半の独白シーン追加で解決されてました(そもそも主演ていうより座長な扱いだったみたいですね)あのピンと張り詰めた空気は金閣寺以来で見てるこっちも緊張しました。あの観客全てが一点に集中する感じは何とも言えません。しかし金閣寺を見たあとでは森田さんならこれぐらい朝飯前って思っちゃいました。本人サラッと演っちゃってるように見えるし…(見えるだけでしょうけど)
しかし森田さんのトビーアスはかわいらしかったですね。パブロも優しい青年って感じで森田さん演じるトビーアスには満島パブロがピッタリでした。パブロに庇われて背中にぴったりくっついてる様は森田さんお得意の小動物の雰囲気で見てて楽しかったです。蜷川バージョンを見てケラ版のコンビも凄く合ってたと思いました。キャストが入れ替わったら成り立たないぐらい。
途中ケラ版には無かったパブロとトビーアスのハグがあってビックリしました。『何故!?』って思いっきり心の中で突っ込んだ…まあアレのお陰で後半パブロを失ったトビーアスが変わって行く訳ですが。
勝村さんと森田さんの絡みも凄く良かったです。特に最後の雨のシーンは印象的でした。トビーアスの結末を知って見てたから心穏やか(?)に森田さんの演技に集中出来ました(これが良かった点です)初見だったら可哀想でイライラしたと思います("血は立ったまま"のときみたいに)
蜷川版はリアルで人間味のある造りになってました。でもエロとかグロはそこまででも無かったです。一応覚悟してたんですが…多分2度目だからかなあ(この辺の感想が曖昧なのが弊害でした)舞台装置のシンプルさと冒頭から後半もちょいちょい出てくるコロス(合唱隊)のアイデアは凄いなと思いました。ケラ版を観に行ったとき席に配ってあったチラシにケラさんと蜷川さんの対談が載ってたんだけどそこで、ケラ版に勝てると思えるコロスのアイデアがあるって感じの事を蜷川さんが言ってたんだけど、もう本当に納得しました。
演出に関しては私はケラさんのバージョンの方が好みだったんですが、このコロスに関しては蜷川さんの方が面白くて良かったです。両端のモニターに歌詞が出るのでより一層内容が頭に入って来たし、とにかくアイデアに度肝抜かれました。
ケラさんの方が良かった理由はリアル感が少なかった事と舞台セットと映像の使い方と美しくも残酷な大人のおとぎ話な雰囲気。あと三姉妹が愛する男を結構あっさり殺しちゃうところとか。何やかんや言ってエイモス家(ドン・ガラス)の掟に従って裏切りは許さず愛する男よりも父(エイモス家の血)をあっさり選ぶところが面白かった。あのあっさり感も全体的な雰囲気にピッタリだったし。あと出演者に好みの役者さんが多かったのと笑える箇所が多かったところと演者の声がよく通っていた事。
蜷川版はケラ版あっての内容と言う感じで、とにかくケラさんがしない事をチョイスしてあって、破綻しないギリギリのところでまとめてある辺り蜷川さん凄いなーって思いました。コロスと雨っていう最大の見せ場があったのも良かったです。