鉈切り丸(大阪・オリックス劇場)

先週と比べて格段に良くなってました。特に森田さんの身体捌きが。


以下内容に触れたような感想


範頼の初登場シーンにいきなり殺陣があるんですが、先週見た時まだもっと出来る筈!と密かに思ってました。そこがグンと伸びてました(期待通りの伸びしろ!)びっこ*1を引いて歩く姿が不自由さが上手く表現されててよりモノになってました。動きが大きく滑らかになってて、見栄えも良くハンデを持ちながら剣術に長けてる様に説得力が増してました。冒頭シーンだけでなく全体的に良くなってました。
殺陣と言えば義盛(木村了くん)は本日も素晴らしかったです。範頼との対比も手伝って爽やかで軽やかでカッコいい!何気に飛び蹴りを楽しみにしてます。
あと森田さんの台詞が更にしっくりくるようになってました。前回も勿論良かったんですが鳶への語りかけとか聴き易かった。森田さんの喉は少しだけ潰れてましたが枯れることなく良く出てました。叫んでもちゃんと台詞が聞き取れるのが良いよね。声質も良くて…私森田さんの声大好きです。語りかけたり、優しかったり、叫んだり、悲痛だったり、かすれたり…色んなパターンの声が聞けて楽しい。
最後の雨の中の立ち回りシーンで返り血を浴びる範頼が凄く良かった。顔が血まみれで狂気と生き様をひしひしと感じられて、切って切られてボロボロになって行くんだけど良い死に様でした。結末を知って見ているせいかじっくり観られました。
今回泣いてしまったのはその雨のシーンです。絶命したかと思った範頼が最後の力を振り絞って上体を起こし、鳶に語りかけるシーン。森田さんの熱演と範頼の悲痛な叫びに心打たれていきなりポロっと出てしまいました。じんわりじゃなく思わずって感じだったので自分でもちょっとビックリ(我慢出来んかった…)
前回の感想で台詞がうろ覚えだったので詳しく書けなかったんですが、景時(渡辺いっけい)の台詞はやっぱり私にとって救いでした。『範頼の死体はバラバラにして鳶に食わせて空に帰してやれ。憐れなこいつには何も見えないだろうがな』って感じのことを言うんです。酷いっちゃ酷いんですが範頼が絶命するとき『土に帰りたくない、空から見下ろしたいんだ』って言ってたので希望を叶えてくれたような気になれます。
範頼の不幸は自分のせいじゃないだけに、憐れで無様な姿と生き様をちょっと愛しい(?)と思いました(先週より更に)だって舞台上で誰も彼を愛さないから…見てるこっちが愛するしか無いよね…
次回は来月の東京公演最後の方を観に行く予定です。1ヶ月近く空いてしまうけど…今度はほぼ正面の席なのでまた違った発見があるかもしれません。

*1:差別用語なんですが鉈切り丸に関してはこの表現で書きます。ご了承ください