阿佐ヶ谷スパイダース『悪魔の唄』広島アステールプラザ大ホール(ネタバレ含む)

【キャスト】
山本壱朗……吉田鋼太郎
山本愛子……伊勢志摩

牧田サヤ……小島 聖
牧田 眞……長塚圭史
朝倉紀行……池田鉄洋

鏡石二等兵…伊達 暁
平山上等兵山内圭哉
立花伍長……中山祐一朗

休憩無しの3時間公演(7時開演で終わったら10時)。ノンストップで3時間は流石にお尻が痛かった。
そして今回も中盤に差し掛かった辺りで小島聖に気が付く。そういえばそうだった。ちょっと忘れてた。スラリとした立ち姿が美しく良く通る綺麗な声をしてました。
テーマが重く話も重い。だけど要所要所で笑いを挟んでいたので重くなり過ぎてなくて良かった。でも8割方見たところで「これどうやってまとめる気だろう」と思った。前回の「はたらくおとこ」と同様。阿佐ヶ谷に限らず最近こういうのが多い。
長塚圭史は最初『笑いは一切無し』でやろうとしていたみたいだけど実現してたら「ピローマン」と張ってたんじゃないだろうか。(ピローマンはルリ王の話を聞いただけで実際見てないけど)実現しなくて良かった。
笑いの部分に関してはやはり山内圭哉中山祐一朗に敵う物無し。話の全貌が分からずまだ探ってる状態のときに中山祐一朗が『いつもの調子』で登場したときは何だかホッとした。
私の泣き所は伊達暁絡みのエピソードでした。一途なキャラクターが何だか泣けた。特にきたのは自分の境遇を話すところと最後立花伍長(中山祐一朗)に渇を入れて貰って「ありがとうございました」と言うところ。名誉の死を望みながらもその死に怯える姿が何とも言えなかった。
しかし今回は台詞が難しいのか聞き取れない台詞が多々あった。特に男優陣。こんなにかつ舌悪かっただろうか。大体は分かったけど。捲し立てるように喋るところは聞き取るのを放棄してニュアンスで見た。
ホラー要素を含んでいたけど一番ゾクッとしたのはラストシーンで館の外に『かつての仲間』が見送りに来てくれたところ。
結局彷徨う人達は何だかんだで全員救われたんだということに今感想書きながら気付きました。ラストがあまりにも重かったので救いがないような気がしたけどそうじゃなかった。救われなかったのは生きてる人間だけ。生きてる人間はそう簡単に救われないのねと。
実際は無いのに「ある」という言葉を一心に信じて救われた立花伍長(中山祐一朗)と鏡石二等兵伊達暁)が一番印象に残った。今思い返すのもラストシーンばかり。しかし立花伍長の救いが婚約者ではなく『戦い』だったのが切なかった。

2度目のカーテンコールで長塚圭史から挨拶がありました。広島の前に福岡で公演する予定だったけど地震の影響で断念したとか。上手い言葉が見つからないけど本当に頑張って欲しいというような内容でした。そして今回のテーマで広島を千秋楽にすることが出来て嬉しいということも。この言葉に感動してみたり。
テーマは『戦争』だったんですが広島に住んでいると戦争と平和は身近に感じることが出来ます。でもそれでも忘れがちになるので長塚氏の言葉が胸に刺さりました。劇中幾つもの台詞にもそれは感じてたんですけど。あと3度目のカーテンコールでキャスト紹介がありました。
救いの無い部分もあったけど見終わってこう色々考えると良い舞台だったなと思います。